原子爆弾とは〜注112

公開: 2019年11月12日

更新: 2019年11月xx日

注112. 日本語ワープロ専用機

1980年頃、まだパーソナルコンピュータは普及していませんでした。どちらかと言えば、趣味のためのモノだったと言えます。その頃、世界的にも高機能ワークステーションと呼ばれた1千万円以上もする1人用コンピュータが出現していました。パーナルコンピュータの製造をしていた米国のアップル社は、アップルIIを販売していました。

現在のPCソフトウェアとして代表的なマイクロソフト社のOfficeのようなソフトウェアは、存在していませんでした。それでも、米国社会では、事務作業を効率化するため、高機能ワークステーションを使った、ワードプロセッシングのための専用ソフトウェアが出現していました。日本でも、同じような問題意識で、ワードプロセシング用ソフトウェアを開発するための研究が行われていました。

日本の市場では、日本語をコンピュータ上で、どのように表現するかを決める「漢字コード」の問題も未解決で、いくつかのやり方が提案されていました。また、日本語の場合、数千字に昇る漢字かな混じり文をどのようにして入力するかの問題もありました。大きなキーボードを使った文字の直接入力や、ひらがなを入力して漢字かな混じり文へと変換する方法などが研究されていました。

そのような状況の中で、1978年に東芝が発表した日本語ワープロ専用機JW=10は、それまでに普及していたカナキーボードを使ってひらがな文を入力して、漢字かな交じり文に自動変換する方法を採用した、画期的な高機能ワークステーションでした。このJW-10がその後の日本における日本語ワードプロセッシングのひな形として定着しました。その後、日本の各社は高機能ワークステーションの機能を低価格で軽量の卓上機に移植し、富士通のオアシスや、シャープの書院などが誕生しました。

日本の企業などでは、社内や社外へ出す資料を、この日本語ワープロ専用機で作成して、印刷してコピーを作り、配布することが一般的になりました。そのため、企業などで文書作成が主たる業務となる職場では、日本語ワープロ専用機の利用技能が重要な要素になりました。この日本語ワープロ専用機が職場に定着したため、汎用パーソナルコンピュータの普及は、世界の各国に比較すると遅れました。

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